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 続いて、私が担当をしてつくった新しいブランド「nasta(ナスタ)」についてお話します。東京に本社がある住宅金物メーカーのキョーワナスタ(当時。現社名はナスタ)のプロジェクトです。本業は家庭用やマンション・オフィス用などのポスト(郵便受箱)を始めとした建築金物です。日本のポストの7割のシェアを持っているといわれています。この会社のリブランディングをしました。

nastaプロジェクト

 住宅着工率が低迷する中、サプライヤーである住宅金物メーカーの経営環境も厳しく、体力がないところは倒れてしまいます。この会社は90年以上続いている老舗であり、倒れるわけにはいかないということで、30代の若手が6人集まって新しいプロジェクトをつくりました。

 もともとこの会社はB2Bが専門です。卸すところはハウスメーカーやマンションデベロッパーです。コストと数量だけで取引する世界で、優位性を競うとしたらスペックしかありません。しかし安易にスペック競争をやると、結局は安売りや納期短縮の話になって、最終的には疲労困憊して倒れてしまう。

 私たちはそれをしたくはなかった。自分たちで立って何かをやりたかったのです。そこで、私たちが選んだのはB2C2Bです。これまでは消費者(C)と全くコミュニケーションのない会社でしたが、Cの間で認知されれば、絶対に取引先(B)との商談に跳ね返ってくるだろう、ということで取組んだのです。