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 ガラス繊維強化プラスチック成形品の表面にレーザーを当て、部分的にガラス繊維を露出させ、その上に二次材料を流して二重成形を行うと、一次材料と二次材料が物理的に強固に接合する。「AKI-Lock」と呼ぶプラスチックの新しい接合技術の原理と特徴を、開発者が解説する。

 「AKI-Lock」は、ガラス繊維強化樹脂の成形品にレーザー処理を施して、部分的にガラス繊維を露出させ、それを二重成形のアンカーとして利用しようという、新しいプラスチックの接合技術です。

ガラス繊維がアンカーに

 まず一次成形品をつくり、その表面に格子状にレーザーを照射し、樹脂分だけを融除します。レーザーの当たった部分は溝になり、溝の中ではガラス繊維がブリッジ状に露出しています。この成形品を金型の中にインサートして、上から二次材料を流し込むと、ちょうどガラス繊維がかんぬき状になって引っ掛かり、強固に接合します。これは、ガラス繊維と樹脂による物理的な接合ですので、これまで接合が難しかった樹脂同士でも接合できる技術です。

図1 レーザー処理でできた溝の中にガラス繊維が露出
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 二重成形技術自体は従来からありました。融点の低い一次材料を成形して、そこに高温の二次材料を流し、二次材料の熱によって一次材料の表面を溶かし、融着させるという考え方です。

 ただしこの方法には制約が幾つかありました。まず、一次材料と二次材料で融点差が必要でした。もう一つは、樹脂同士ができるだけ相溶する必要がありました。溶けて混ざり合ってくれないと接合できません。例えば、6ナイロンと66ナイロンとか、PBT(ポリブチレンテレフタレート)とPET(ポリエチレンテレフタレート)とか、類似の材料同士なら相溶しやすいのですが、一方で似たような材料は融点差がそれほど大きくないという問題もあります。したがって、二重成形では材料の選定に制約がありました。

 それに対して、このAKI-Lockは、ガラス繊維のアンカー効果で接合させますので、一次材料にガラス繊維かそれに相当するフィラーが充填されていれば、二次材料については制約がありません。どのような材料でも接合できる技術です。