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 従来の二重成形は、PPSやPBTでは実施例があったのですが、前編で述べたように使える材料に制約がありました。PBTと低融点PBTを従来の二重成形で接合させた場合、接合強度は12MPa程度しか得られません。それに対してガラス繊維入りのPBTにレーザー処理を施して、一般的なグレードと接合させると、接合強度は約40%アップしました。

 PPSの場合は、結晶化温度が120度付近ですので、普通は金型温度を140度ぐらいまで上げて、しっかりと結晶化させて成形します。しかし、二重成形をする場合は、金型温度を下げて、いったん非結晶状態のPPS成形品を作ります。それを金型にインサートして、後から高温の樹脂を流すことで、非結晶部分を溶かして接合させます。これですと45MPa程度の接合強度が得られます。これに対して、AKI-Lockでは、通常の高温の金型で成形したものにレーザー処理を施して接合させるので、接合強度は63MPaまで上がります。30%ほど接合力が上がったことになります。

 ちなみに、この63MPaとはどのくらいの数字でしょうか。実は、実験に使ったガラス繊維が40%入ったPPSは、ウエルド強度が70MPaです。ですから、ほぼウエルド強度に近い接合力が得られるということです。言い換えれば、無垢の成形品と同じぐらいの強度で接合しているということです。

 自動車業界などで、溶着強度が比較的高くて信頼性も高いといわれている熱板溶着の接合強度が52MPaです。AKI-Lockを用いることで従来使われている溶着技術よりも高い強度が得られるわけです。