西部ガスと旭硝子の思惑が一致

 発電事業者のエネ・シードひびきは、西部ガスの100%子会社の太陽光発電事業者であるエネ・シードが51%、旭硝子が49%を出資して設立された。

 20.5MWのメガソーラーの年間発電量は、一般家庭約5800戸の年間電力使用量に相当する2100万kWhで、丸紅の新電力(PPS)と九州電力に売電する。丸紅の新電力への売電分は、固定価格買取制度(FIT)に基づく40円(税別)に、プレミアム分を上乗せした額となっている。

 投資額は約60億円で、年間売電額は約8億円を想定する。

 メガソーラーは、日本海に面した響灘地区に位置する旭硝子の所有する土地に立地する。埋め立てを完了した産業廃棄物処理場の跡地で、3分割したうちの南側のエリアにパネルを設置した。敷地面積は約25万6000m2

 残りの土地は、西部ガスが活用する。北側の海岸に面した土地には、約7年間かけて同社グループ最大規模のLNG(液化天然ガス)基地を建設し、11月1日に運用を開始した(図2)。中央の土地には、ガス火力発電所を建設する予定で、現在、環境アセスメントを実施している。

図2●メガソーラーの北側では、西部ガスグループ最大のLNG基地が稼働開始
(出所:日経BP)
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 西部ガスは、エネルギー源の多角化を目的に太陽光発電事業に積極的に取り組んでおり、これまでにも、エネ・シードの子会社、および千代田化工建設との合弁企業を通じて、福岡県大牟田市、北九州市、長崎県長崎市で5カ所、合計8.6MWのメガソーラーを運用してきた。

 一方、旭硝子は、遊休地の有効活用と、自社製品の応用を実証することを主な目的に、メガソーラー事業を展開している。フラット・パネル・ディスプレイ(FPD)用のガラス基板を製造する関西工場高砂事業所(兵庫県高砂市)の屋根に約5MWを設置したほか、塩田跡である兵庫県赤穂市の遊休地に約4.2MWのメガソーラーを建設している。

 今後も太陽光発電事業の拡大を目指す西部ガスグループと、旭硝子の思惑が一致し、メガソーラーを建設することにした。