1.1mm厚の化学強化ガラスを両面に

 こうした状況から、ドイツSolar World社や中国トリナ・ソーラーが、いち早く両面ガラスの太陽光パネルを製品化した。

 いずれも、現時点では低コスト化が不十分なガラスの薄厚化を最小にとどめ、高信頼化の利点を前面に出して拡販している(関連ニュース2)。両社とも、既存のガラスの薄厚化を2mm台にどどめ、両面に使ったパネルを製品化している。

 これに対して、三菱電機の今回の太陽光パネルは、1.1mm厚まで薄くした化学強化ガラスを使った(図5)。

 10MW規模で設置するパネルに1.1mm厚の化学強化ガラスを使ったことに加え、太陽光パネルの製造プロセスに与える影響を最小に抑えた点で、画期的だと強調している。

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図5●1.1mm厚の化学強化ガラスを採用した両面ガラスの太陽光パネル
裏面側から太陽電池セルが見える(上)。取材前日の台風の影響でできた池のような水たまりにも、裏面側から太陽電池セルが映り込む(下)(出所:日経BP)

 採用したガラスは、旭硝子製の化学強化ガラス「Leoflex」。パネルの重さは、3.2mm厚のガラスとバックシートの組みわせによる従来のパネルで平均的な約11.5kg/m2から軽量化した。新パネルの重さは約9.1kg/m2と従来パネルより約21%軽くなった(図6)。

図6●従来パネルより約21%軽い約9.1kg/m2
(出所:旭硝子)
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 ただし、今回のパネルは、安全性を重視してアルミフレームを装着している。また、1.1mm厚の化学強化ガラスに、反射防止膜(AR)を付加する技術が開発中だったために、反射防止膜がなく、太陽光の透過率が既存のパネルに比べて低い。反射防止膜の付与については、すでに開発を終えており、今後は付与できる見込み。

 旭硝子では、既存の太陽光パネルの構造で、裏面はバックシートとしたまま、0.85mm厚の化学強化ガラスを使ったパネルを、高砂事業所の屋根上のメガソーラーに設置した実績もある(メガソーラー探訪の関連記事3)。

 高砂事業所では、従来の3.2mm厚のガラスによるパネルでは、屋根の耐荷重性を満たせない場所に設置できるようにする目的で、ガラスの厚さを4分の1、パネルの重さを半分とし、軽量化を優先したとしている。