開放電圧測定などでクラスタ1組の不発電を発見
測定結果は、①467.5V、②462.6V、③462.9V、④452.1Vです。正常なストリングである①~③では、太陽光パネル1枚の平均で33.17Vとなります。パネル内のクラスタ1組が発電していない場合、33.17V÷3=11.1Vの差が生じることになります(図3)。
そこで、ストリング④の太陽光パネルに不良があると推測し、セルラインチェッカーを使って探査しました。セルラインチェッカーは、送信器で信号を回路に入力し、受信器でその信号をキャッチするもので、正常ならば音と光を発します。
太陽電池セルやクラスタに、故障している箇所がある場合には、入力した信号をキャッチできなくなるため、音と光が途絶えます。この事例の時にも、1枚の太陽光パネルで信号をキャッチしませんでした。
念のため、その太陽光パネルの配線を外し、パネル単体で開放電圧を測定したところ、正常であれば約33Vとなるはずが、22Vしか出力されていませんでした。これによって、不良の太陽光パネルを特定できました。
この発電所は、連系開始の予定日まで、数日間の余裕があったため、連系開始前に不良パネルを新たなものに交換してもらいました。
もし、こうした不良パネルを発見できず、そのまま連系を開始した場合、どのようなことが生じるでしょうか?
この発電所の出力は1.3MWで、3台のパワーコンディショナー(PCS)を導入しています。PCSの直流入力電圧は、接続されている複数のストリングのうち、最大電力点(最大の電力量になる電流と電圧の積)を実現する電圧が最小になっているストリングの電圧に自動追従します。
このため、たとえ1枚の太陽光パネルの不良であっても、発電所全体の出力の低下という影響を与えるのです。
太陽光発電所は、長い期間、運転されるものです。できるだけ早い段階で不良を発見し、健全な状態を長く維持するように努めなければなりません。
(次回は、12月11日(木)に掲載予定)