2015年の市場投入を目指し、車両開発と水素供給インフラ整備に向けた動きが加速している。車両開発では耐久性と低温作動のメドが付き、車両価格もまずは500万円を目指せそうだ。水素供給インフラの整備では、建設費用の削減に向け、規制を合理化する動きが始まった。
燃料電池車(FCV)を2015年から市場投入するためには、車両開発と水素供給インフラの整備が両輪となって回っていかなければならない。このうち、車両開発では、耐久性や低温作動について課題解決のメドが付いた。2015年に向けて、あとはひたすらにコスト削減を追求するだけである。
実際、2015年に新型車を導入する自動車メーカーであれば、そろそろ基本的な仕様が決まり、車両価格の見通しは立てているはずだ。2015年の導入期のFCVで目標とする燃料電池システムのコストは1万円/kWといわれてきたが、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダは共に既に目標を達成しているとみられる。
ただ、2030年の本格的な普及に向けては燃料電池システムのコストをさらに半減させる必要がある(図1)。それには燃料電池スタックや、水素タンクなど燃料電池システムの主要部品の材料コストを大幅に低減するため、材料から見直すような基礎的な研究を進めることが不可欠だ。
一方、水素供給インフラについては、日本では諸外国に比べて安全対策への規制が厳しい。そのため、規制に従った水素ステーションを運用しようとすると、建設費用が高い上、利便性にも大きな障害がある。
それでも、2015年までに先行して100カ所程度の水素ステーションを整備するためには、水素ステーションの設計や工事期間を考えると、2013年までに基礎的なデータを検証しながら規制の合理化を進めなければ間に合わない。
さらに、2025年に向けて800~1000カ所程度の水素ステーションを整備していくには、建設費用をより低減できる技術の開発や、原油価格に対抗できる水素価格の実現に向けた開発が必須になりそうだ。