「HOSPEX Japan 2014」(2014年11月12~14日、東京ビッグサイト)内で実施された「医工連携ワークショップ/第6回全国医工連携支援機関ネットワーク会議」。ワークショップの最後に用意されたプログラム「マーケティング(ユーザー評価等)~学会(医師)との連携によるユーザー評価の試行~」の様子についてレポートする。
本プログラムのテーマは、医療機器開発に欠かせない第三者によるユーザー評価。まずは、日本医工ものづくりコモンズ常任理事/早稲田大学教授の谷下一夫氏がこれまでの取り組みと、そこから見えてきた課題について語った。
「ユーザー評価の意味は大きい」
もともと慶応大学で機械工学を専門とし、流体力学を用いた血管・血流の分析に携わってきたという谷下氏。2年前に慶応大学を定年退職し、これまでの経験を活かして医工連携事業の手伝いをしたいと思っていたところ、タイミングよくユーザー評価仲介の依頼を受けたという。
「ユーザー評価の意味は大きい。医師や看護師など、現場の声を途中段階で聞くのは開発段階で欠かせない手順。評価の導入時期は2段階に分かれる。最初はある程度、初期段階のプロトタイプができた頃。例えば経済産業省のプロジェクトでは、開始して1年半~2年半の間が目安となる。このテストマーケティングでいろんな意見を踏まえ、最終段階の直前でもう一度評価してもらう。真剣勝負の前に実施されるこの評価は非常に重要なものになる」(谷下氏)。
まだ始まったばかりの取り組みであることから、昨年度は1件の事例にとどまった。だが、その経験からもさまざまな課題が見えてきたと谷下氏は話す。「最初に医師選定の難しさがある。医師は開発課題に近い臨床医を選定せざるを得ないが、そこにはジレンマもある。既に何らかの開発プロジェクトに携わっている場合は、こちらの評価をしてしまうことで束縛されてしまうのではないかと危惧される。あとは経験年数。若手の率直な意見も聞きたかったので、若手、中堅、ベテランとバランスを考えて選定した。それから、医師自身が医療機器開発に携わった経験があるかどうか。できれば開発に関心を持って、どこかの企業と話したことがあるほうが話しやすい」(同氏)。