SPCでなく、信託スキームを採用

 たはら・ソーラーウインド発電所には、三井化学のほか、三井物産、シーテック、東亞合成、東芝、東レ、三井造船の7社が事業に参加し、日本政策投資銀行がプロジェクトファイナンスを組成して、融資した。こうした場合、一般的には7社出資によるSPC(特定目的会社)を設立するが、今回は、トランスバリュー信託を発電事業者とした。そのうえで7社が土地及び金銭(設備)をトランスバリュー信託に信託するというスキームを採用した。

 トランスバリュー信託は、こうした信託スキームによって、太陽光や風力など再生可能エネルギー発電を約20件、160MWを運営する実績がある。電気主任技術者などの発電設備の知識を持った人材を採用し、再エネ事業の運営ノウハウを蓄積している。信託スキームは、SPCを共同出資で設立する方式に比べ、SPCの収益と出資会社への配当に対する2重課税を回避できる。加えて、「発電のプロに任せることで、運営・管理コストも効率化される」と、トランスバリュー信託の杉谷孝治社長は言う。

 たはら・ソーラーウインド発電所は、遠隔監視システムによる各発電状況のデータの収集・分析など、実証実験の場として活用する(図13)。事業に参加する各社は、運営の過程で蓄積されるノウハウや課題を共有し、各社の知見を生かして問題を解決しつつ、今後、再生可能エネルギー推進に取り組むという。

図13●架台用素材の違いによる腐食を検証(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

 すでに三井化学は、太陽光発電に関する診断・コンサルティング事業に乗り出しており、ノウハウを持つドイツ企業と提携した。田原市のサイトのほか、千葉県の茂原分工場に335kWの太陽光発電設備を設置して、独自の遠隔監視システムを導入し、ビッグデータで分析する実証を始めた。すでに三重銀行とはこの分野で業務提携している。

●施設の概要
名称たはら・ソーラーウインド発電所
発電事業者三井化学、三井物産、シーテック、東亞合成、東芝、東レ、三井造船の7社が事業用地と金銭(設備)をトランスバリュー信託に信託し、同社が発電事業者となる。金銭信託の比率は三井化学35%、三井物産15%、シーテック10%、東亞合成10%、東芝10%、東レ10%、三井造船10%
住所愛知県田原市緑が丘
敷地面積80万m2
土地所有者三井化学
出力太陽光パネルの設置容量50MW、パワーコンディショナー(PCS)設置容量35MW、風力発電設備容量6MW
予想発電量太陽光・風力発電の合計で約6万7500MWh
運転開始2014年10月1日
総投資額約180億円
EPC(設計・調達・施工)メガソーラーは東芝、風力発電設備は三井造船
O&M(運営・保守) シーテック
太陽光パネルLGエレクトロニクス製の単結晶シリコン型、京セラ製とシャープ製の多結晶シリコン型、ソーラーフロンティア製のCIS化合物型
太陽光発電のPCS東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(500kW機・70台)
風力発電設備日立製作所製(2MW機・3基)