日経エレクトロニクス、日経ものづくり、日経Automotive、および日経テクノロジーオンラインの専門記者・デスクが、それぞれの視点で2014年のトピックを取り上げ、総括します。
【年末年始特集】専門記者が振り返る2014年
目次
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電気自動車(EV)、この1年──Tesla、BMWが攻勢も、原油安で正念場に
米Tesla Motors社の「Model S」の販売好調などで再び注目を集める電気自動車(EV)。ドイツの自動車大手も投入を加速し、EV走行が主力のプラグインハイブリッド(PHEV)車も伸びている。2015年は新型車の発売も相次ぐが、足元では原油価格が下落しており、EV普及に向けた正念場の年になり…
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3Dプリンター、この1年──ハイブリッド化の波が到来
ここ数年で注目度が一気に高まった3Dプリンター。装置の面では、10万円を切るような低価格機や食品を造形できる装置などが登場したのに加えて、切削加工や3Dスキャナーの機能を併せ持つハイブリッド化が進んだことも大きな注目を集めた。3Dプリンターの関連事業に参入する日本企業も増えた。一方、ユーザー側での活…
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サブGHz帯の無線通信、この1年――スマートメーターから社会インフラ維持管理、農業へと活用分野が広がる
1GHz以下の帯域を使う「サブGHz帯」の無線通信システムの市場がにわかに盛り上がっている。サブGHz帯とは日本の920MHz帯、米国の915MHz帯、欧州の863MHz帯などを指す。2014年はスマートメーターや社会インフラ維持管理、農業といったさまざまな分野でサブGHz帯無線を活用する機運が高ま…
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終わりなき燃費競争、この1年――2014年は37km/Lの「アルト」、2015年は新型「プリウス」に注目
軽自動車で繰り広げられる終わりなき燃費競争。2014年を締めくくったのはスズキの新型「アルト」(37.0km/L)だった。ダイハツ工業の「ミライース」(35.2km/L)、スズキの先代「アルトエコ」(35.0km/L)を大幅に上回る性能を達成した。
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ホンダ、この1年 ── ハイブリッドシステムやエアバッグなどの品質問題に直面
2014年のホンダは、品質問題の対応に揺れた。2013年9月に発売した小型車フィットのハイブリッド車(HEV)は、2014年10月までに5回にわたってリコール(回収・無償修理)を繰り返した。
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自動ブレーキ、この1年――EyeSightの独走を誰が止めるのか
日経Automotive Technology誌は2014年、11社の自動ブレーキを対象に車両と歩行者に対する衝突回避性能を実車で評価した。その結果、富士重工業の「EyeSight」が最高得点を獲得して首位だった。EyeSightについては同年3月に「ver.2」、10月に最新版の「ver.3」を…
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デジタルカメラ、この1年――あの手この手で暗黒時代と向き合う
あらゆるデジタル家電が苦戦を強いられる中で、今まさに生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされているのがデジタルカメラである。2014年におけるデジタルカメラの総出荷台数は、カメラ映像機器工業会(CIPA)の推定では5500万台。ピークだった2010年の半分以下に縮んだ。
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CFRP、この1年――航空機から自動車へ、量産車への本格採用が始まる
2014年4月には世界で初めて炭素繊維強化樹脂(CFRP)を車体の主要骨格に採用した量産車が日本でも発売された。ドイツBMW社の電気自動車「i3」である。 i3の価格は499万円(レンジエクステンダーなし車種)。これまでCFRPが主要構造部材に採用されたのは価格が数千万円のスーパーカー。生産台数も限…
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生産・加工技術、この1年――異種材料接合に自動車業界が熱視線
生産技術や加工技術の分野で2014年に最も耳目を集めたのは、「異種材料接合」だ。異なる種類の材料を、接着剤やねじなどの締結要素を使わずに強固にくっつける接合技術のことである。日本で誕生し、世界リードする接合技術でもある。
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ディスプレー、この1年――“どこでも化”で新用途開拓へ
2014年は、ディスプレーの用途拡大を狙った新技術の開発に目覚ましい進展があった。テレビやスマートフォンに続く新市場として期待を集めるウエアラブル端末向けのディスプレー、自動車のインスツルメントパネルに搭載しやすいフレームレスの異形ディスプレー、過酷な温度環境でも使用できるMEMSディスプレーなど…
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FPGA、この1年――Microsoftなどが採用しデータセンター分野に本格進出
2014年は、データセンター分野でFPGAの採用が進んだ年だった。2014年6月、米Microsoft社が自社データセンターへのFPGAの大量導入計画を発表したほか、中国Baidu社、ドワンゴ、マイクロアドといった大手ネット企業が相次いでFPGAの導入・開発計画を明らかにした。
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次世代パワー半導体、この1年――SiCがクルマに、GaNは実用化始まる
進展著しいSiCやGaNといった次世代のパワー半導体。2014年はSiCのパワー半導体素子(パワー素子)の適用範囲がグンと広がり、GaNパワー素子は実用化が始まった。
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インダストリアル農業、この1年――自社技術を武器に製造業の新規参入相次ぐ
安倍政権が農業を成長産業の1つと位置付けていることもあって、異分野から農業に熱い視線が注がれている。2014年は、ものづくり企業が植物工場などの農業事業への参入するケースが相次いだ。例えば、東芝。遊休設備となっていた同社のフロッピーディスク工場を再利用して完全人工光型の植物工場を建設し、2014年…
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CAE(Computer Aided Engineering)、この1年――商用ツール登場から50年、進化は続く
2014年8月末に鉄道総合技術研究所(鉄道総研)の一般公開で展示されていた研究成果の1つに、線路(軌道)を車両が通るときの様子を有限要素法と個別要素法で解析した、というものがあった(図1)。軌道の砕石(バラスト)は、通過する列車の振動を弱めるクッションの役割を持つが、時間が経つと部分的に沈下するな…
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ウエアラブル、この1年―― 日本発のメガネ型製品が多数登場
2014年は、特に日本発のメガネ型ウエアラブル製品が数多く登場した年となった。
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半導体メモリー、この1年――微細化へ原点回帰、新メモリーは停滞
さまざまな半導体デバイスの中で、微細化が先行して進んでいるのがNANDフラッシュメモリーやDRAMに代表されるメモリーである。ここ数年はメモリーの微細化限界が指摘され、NANDやDRAMに代わる新しいメモリーの開発が精力的に進められてきた。