採算度返しで「宮崎ソーラーウェイ」に取り組む
――当時の送電網に、メガソーラーの電力を受け入れる発想はなかったと想像します。スムーズに連系できたのでしょうか。
渡邉 元々、近隣地で太陽光発電所の建設の可能性があり、その協議が進んでいたことと、さらに、リニアモーターカーの実験線という、大規模な受電設備が必要な立地条件から、連系については、大きな問題はありませんでした。
それよりも、グループ内に太陽光発電や売電事業の経験者がおらず、外部からの採用で人材を補強して、取り組む苦労がありました。
宮崎県の誘いに応じたのは、日本では、グループ内で最大規模の企業である、国際航業の強みを生かした太陽光発電事業を模索しようと考えていたからです。
国際航業は、地方自治体や官公庁向けの事業に強みを持っています。ただし、公共事業に依存しやすい事業です。公共事業費の縮減が続いている中、新しい事業モデルの確立が課題でした。
比較的、国際航業の既存事業の領域にも近く、かつ、地方自治体との連携が重要になる分野が、環境・エネルギーでした。地方自治体向けに、環境・エネルギーをテーマとした新たな事業を構築する目的で、取り組もうとしていた矢先でした。
従来の国際航業は、コンサルタントとしての助言や調査、設計までを事業の範囲としてきました。新たな事業となる太陽光発電では、その上で、建設や発電まで手がけることで、国際航業ならではの強みを生かせ、かつ、他社とは異なる地位を確立できると考えました。
こうした構想を持っていたところに、宮崎県からの要請がありました。当時の事業環境では、宮崎県と都農町との共同事業とした上、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による助成を受けても売電事業として赤字になることがわかっていました。それでも、建設したのは新たな事業のフラッグシップにしようと、考えたからです。