廃棄物処分場の活用は戦略の1つ
――地方自治体との連携の強さからか、廃棄物処理場跡地へのメガソーラーの建設など、難しい案件を多く受注しているように見えます。
渡邉 廃棄物処理場跡地へのメガソーラーの建設は、活用の難しい土地の有効活用を、地方自治体と一緒になって模索し、街づくりに貢献していくという、国際航業の戦略の一環です。
国際航業は元々、廃棄物処理場の管理や設計などを手がけ、廃棄物処分場関連の業務に長けています。従来は、緑地などのほかには活用が難しかった廃棄物処分場跡を活用し、所有する地方自治体に恩恵を与え、関係を深めていくことが、将来の国際航業の発展につながります。単に土地を借りて発電事業を行うというものではありません。
地方自治体だけでなく、環境省、総務省、国土交通省などにも、同様に働きかけてきた効果でもあります。
こうした積み重ねによって、2014年は、地方自治体による公募において、信頼感を理由に国際航業が選ばれることが多くなってきました。
全国の廃棄物処分場の現状や活用法に関する調査を環境省から受託していた経緯もあります。工業用地など制約の無い適地への建設がある程度、終わった後、次の候補地として、制約は多いものの、有効活用に困っている土地の一つとして、廃棄物処理場が浮上してくることは、予想していました。
国際航業が、和歌山県橋本市に建設した出力708kWの太陽光発電所「和歌山・橋本ソーラーウェイ」は、その一例です(図3)。和歌山県が所有する産業廃棄物処理施設跡地に立地し、県が公募した「ダイオキシン類汚染無害化処理対策地における太陽光発電所設置事業者」に選ばれました。こうした実績が評価されて、地方自治体からの引き合いが多くなってきました。
――通常よりも制約の多い場所への建設が増える中、買取価格が下がってくるのが悩みどころです。
渡邉 過度な拡大を抑えるためとはいえ、蛇口を急に締めてしまうような制度の運用では、産業として関連企業を育成できなくなってしまう、という懸念を抱いています。
ドイツの例でも、産業の裾野は広がって厚みを増し、さまざまな企業や技術を育成できました。太陽光パネルが中国メーカーに席巻されてしまいましたが、それ以外では、着実にプレイヤーが育っています。日本でも、こうした発展を期待していました。