「接続保留」の先を見据え、新たな事業モデルに着手

――接続申し込みへの回答保留などの状況もありますが、今後の日本の太陽光発電の展望を、どのように見ていますか。

渡邉 和伸氏
日本アジアグループ 取締役経営企画部、財務部、財務開発部、コーポレートコミュニケーション部管掌(出所:日経BP)

渡邉 前向きに捉えると、本来、残るべきプレイヤーが残るだろうという期待はあります。ただし、接続保留に関しては、忸怩たる思いがあります。

 ドイツでも、制度の変更はありました。ただし、事前に告知され、一定の猶予期間を経た上で、制度を変更するというプロセスを踏んでいました。これに対して、日本の接続保留は、突然のシャットダウンで、発電事業者側は準備できる猶予を与えられていませんでした。

 ドイツで学んだことは、いかに制度の変更に対応しながら、事業を伸ばしていくのかということでした。日本でも、ある程度、制度変更に備えながら取り組んでいます。今後に向け、新たな事業も準備しています。

 候補の一つは、太陽光発電以外の再生可能エネルギーによる電源に広げることです。もう一つは、電力ビジネスで培ったノウハウを、新たな事業に転換していくことです。国際航業は、広い分野で事業を展開しているため、既存の事業にエネルギー事業の経験を融合し、新たな事業モデルを構築できる余地が大きいという利点があります。

 例えば、仙台市の田子西土地区画整理事業区域において、災害に強いスマートコミュニティを構築しています。震災前から着手している案件で、高圧一括受電で4区画に配電するといった取り組みに注力しています。

――そこでは、新電力として電力の小売りに踏み込むのですか。

渡邉 すでに新電力には登録しています。自治体と一体となって、電力の流通まで手がければ、面白いビジネスが生まれる可能性があります。

 電源の多様化に関しては、元々、上流段階のコンサルティングで小水力発電や風力発電などを手掛けてきました。これを川下の実際の売電事業まで広げていくことは可能です。電源を多様化し、特定の地域に集中的に電源開発できれば、地域の電力会社に発展するかもしれません。

――ドイツではシュタットベルケと呼ばれる地域の電力会社が存在感を持っています。加えて、買取価格の下落と再エネの発電コストの低下によって、自家消費を基本に余剰を売電するタイプの太陽光発電が伸びていますね。

渡邉 日本でも、太陽光発電がグリッドパリティに達すれば、そうした活用法が主流になるでしょう。

 その時には、国際ランド&ディベロップメントの強みが生きるでしょう。不動産管理事業において、中小規模のビルの管理を多く引き受けており、ネットワークの基盤をすでに持っています。