高性能なデータ収集システムを設計する際、賢明なエンジニアであれば、シグナルコンディショニング回路を構成するアナログ・フロント・エンド部に必要な部品を慎重に選択することだろう。そして数週間を掛けて設計とシミュレーションを実行し、差し迫った納期に間に合うようにプリント基板(ボード)のレイアウト設計を短時間で終わらせるはずだ。
ところが、である。1週間後に手元に届いた試作ボード。これをテストしたところ、期待通りの性能が得られない。なぜなのだろうか・・・。こんなトラブルを経験したことはないだろうか?
このトラブルは恐らく、シグナルコンディショニング回路を構成するA-D変換器ICに関係しているはずだ。A-D変換器ICから期待する性能を引き出すには、ボードのレイアウトを最適化する必要がある。
一般にミックストシグナルICを含む回路を設計する場合は、グラウンドを確保する最良な手法を選択すると同時に、ボードをアナログ領域とデジタル領域、電源領域に分けて、部品と信号ラインを最適に配置/引き回す必要がある。特に、その回路にA-D変換器ICが含まれる場合は、基準電圧経路(リファレンスパス)が極めて重要になる。というのも、すべての変換作業に基準電圧が関与しているからだ。