島外からも見学者も呼び込みたい

 発電所の下には、集落があり、雨水の処理が課題になった。その点、土取り地として利用した当時の排水溝や3つの貯水池を利用した。排水溝を使って、雨水を排出し、大雨などの際には、池に一時的に貯めておくことで、適切な治水を実現したという。

 同発電所のもう一つの特徴が、充実した見学施設を建設したことだ。淡路貴船太陽光発電所の松村孝一社長は、「メガソーラーは雇用をほとんど生まない。関西最大の太陽光発電所と言っても、保守・運営のために常駐するのは3人に過ぎない。そこで、島外からも多くの見学者を誘致することで、地域の活性化に貢献したい」と話す。明石海峡大橋を使えば、神戸市の三ノ宮からクルマで40分程度の距離にあり、関西圏の環境教育の場として身近な距離にある。

 複数のサイトに分かれているため、全体を一望できる場所はないものの、斜面に階段状に設置しているので、上から各サイトを見下ろすことができる。管理事務所の外には、野外展望台があり、海をバックに整然と並んだ太陽光パネルのほか、隣接した山間に設置した複数の風力発電設備も望める(図5)。

図5●野外展望台(出所:日経BP)
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 管理事務所の前には、1アレイ分の実物の太陽光パネルを設置した(図6)。発電施設はすべてフェンスに囲まれているが、これを見れば、基礎から架台、パネルの配線など、太陽光パネルの基本的な設置方法が間近で理解できる。

図6●管理事務所前に設置した1アレイ分の太陽光パネル(出所:日経BP)
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