EVと電動アシスト自転車のシェアリングも開始

 こうしたエネルギー設備や家電は、HEMS(住宅エネルギー管理システム)によって最適に制御・監視している。各住宅のHEMSは、「スマートエナジーゲートウエイ(SEG)」を介し、タウンマネジメント会社の管理するサーバーと繋がっており、各戸のエネルギー消費データなど蓄積している(図13、図14)。今後、タウンマネジメント会社は、エネルギー使用履歴の「見える化」や省エネコンサルティングサービス(2年間限定で無料)を提供する計画だ。

図13●タウンマネジメント会社の事務所にあるモニター(出所:日経BP)
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図14●街区内の再生可能エネルギー利用率が30%に達している日もある(出所:日経BP)
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 Fujisawa SSTでは、エネルギーマネジメントのほか、「モビリティ」「セキュリティ」「ヘルスケア」「コミュニティ」を加えた5分野のスマート化を掲げている。

 「モビリティ」ではEVや電動アシスト自転車のシェアリングを導入した(図15)。現在、カーシェア用EVは1台だが、将来的に戸建てが増えていく段階で、5~10台に増やす予定。駐車場なしの建て売り住宅を分譲する計画もある。

図15●電動アシスト自転車のシェアリングサービスを導入した(出所:日経BP)
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 また、「セキュリティ」では、警備員の巡回に加え、街の出入口や公共の建物、公園の影、大通りの交差点などを中心に「見守りカメラ」47台を配置している。「ヘルスケア」に関しては、2016年にサービス付き高齢者向け住宅と特別養護老人ホームの入った施設が完成する。

 戸建て(40坪)の販売価格帯は、5500~6500万円と周辺物件に比べると相対的に高額になるが、2014年度の分譲分(200戸)のうち、すでに100戸以上を販売済みという。低炭素型に加え、総合的な魅力づくりが、不動産の価値を高めているとみられる。