心疾患の手術成功率を高める
プロダクトデザインや樹脂筐体設計、開発試作品製作などを手掛ける同社が、心臓シミュレーターという開発テーマに出会ったのは2009年。新生児の100人に1人もの割合で、先天性心疾患が発生していることを知った時だという。
心疾患を持つ患者の心臓は「動脈と静脈(の位置)が反転しているなど、血管の構造が複雑な場合が多い」。そのため、執刀医が術前に血管の構造を十分に把握し、手術をシミュレーションすることが欠かせない。
ところが、画像診断に頼る従来の方法では、複雑な血管の立体構造を正確につかむことは難しかった。立体表示された画像も、実際には医師が頭の中で3次元に再構成する必要があるからだ。そこで同社は、心疾患の手術成功率を高められる術前シミュレーターの実現を目指し、開発プロジェクトを始動させた。