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 岐阜県土岐市にある核融合科学研究所は、元は、名古屋大学 プラズマ研究所だった。1989年に京都大学ヘリオトロン核融合センター、および広島大学核融合理論研究センターの一部と統合され、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構の1組織となっている。

 ここで進められてきた核融合研究用のプラズマ閉じ込め装置が、大型ヘリカル装置(LHD)である(写真1写真2写真3)。

写真1 核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)。装置の外径は13\.5m、高さは9\.1m。左下の薄緑色の装置は、中性粒子ビーム入射装置。
写真1 核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)
装置の外径は13.5m、高さは9.1m。左下の薄緑色の装置は、中性粒子ビーム入射装置
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写真2 別の角度から見たLHD。左の塔のような装置は、電子サイクロトロンイメージング放射計測装置
写真2 別の角度から見たLHD
左の塔のような装置は、電子サイクロトロンイメージング放射計測装置(ICH)
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写真3 LHDの1/20スケール模型。オレンジ色の部分がコイル。ピンク色に光っているのがプラズマを指す。LHDには、ブランケットは装備されていない。
写真3 LHDの1/20スケール模型
オレンジ色の部分がコイル。ピンク色に光っているのがプラズマを指す。LHDには、トリチウムを生成するブランケットは装備されていない。
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 LHDは、京都大学が1961年に考案したヘリオトロン方式のプラズマ閉じ込め装置が基になっている(写真4)。

写真4 京都大学が核融合科学研究所に寄贈した「ヘリオトロンD」。1970~1982年の間、京都大学で稼働した。ヘリカルコイルの大半径は、1085mmである。
写真4 京都大学が核融合科学研究所に寄贈した「ヘリオトロンD」
1970~1982年の間、京都大学で稼働した。ヘリカルコイルの大半径は、1085mmである。
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 現在主流のトカマク型プラズマ閉じ込め装置とは設計が大きく異なる。トカマク型がトロイダルコイル、ポロイダルコイル、そして中心ソレノイドコイルという3種類のコイルを用いて、プラズマの閉じ込めを図るのに対し、ヘリカル型では、プラズマに2重らせん状に巻きつく形のコイルと、ポロイダルコイルの2種類のコイルを用いる点(写真5写真6)。これがヘリカル、つまりらせん状という言葉の由来だ。中心ソレノイドコイルが不要なのは、プラズマ中に電流(プラズマ電流)を発生させる必要がないためである。

 プラズマ電流を発生させる必要がないという点は、ヘリカル型の最大の特徴である、プラズマの閉じ込めがトカマク型より安定的で、理論上は完全な定常運転が可能という点にもつながる。トカマク型のプラズマ電流は中心ソレノイドコイルが発生する磁場の誘導電流であるため、定常運転が原理的に困難で、実用化時には数分~3時間程度の短時間の運転を繰り返すことになる。一方、ヘリカル型には、そうした“不安定要因”がないのである。

 プラズマの形もトカマク型とは異なる。トカマク型でのプラズマは、一般的なドーナツ形状をしているが、ヘリカル型では、ドーナツの輪を生地をねじりながら作製したような形状である。

写真5 実物大の超電導ポロイダルコイルの模型。内側のコイルが外径6m、外側のコイルが外径11\.4m。
写真5 実物大の超電導ポロイダルコイルの模型
内側のコイルが外径6m、外側のコイルが外径11.4m
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写真6 超電導ポロイダルコイルの模型の一部の拡大写真
写真6 超電導ポロイダルコイルの模型の一部の拡大写真
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