
経済産業省は、長期エネルギー需給見通し小委員会を開催し、日本のエネルギーミックスのあり方について議論を始めた。同小委員会では、新エネルギー小委員会での再生可能エネルギーの導入可能性などについての検討を踏まえ、再エネの比率が議論される予定だ。エネルギー基本計画に記載された再エネ比率である21%にどの程度、上乗せされるかが、焦点になる。両小委員会の委員を務める名古屋大学大学院環境学研究科の高村ゆかり教授に、今後の再エネ促進策のあり方などについて聞いた。
――再生可能エネルギーの接続保留問題は、保留を実施した電力会社に対し、指定電気事業者制度を適用することで解消しました。これをどのように見ていますか。
高村 電力会社ごとに「接続可能量」を算出して、それを超えた場合、指定電気事業者になり、再エネ事業者からの接続申し込みについて無補償・無制限の出力抑制を条件に接続する、という今回の対応は、地域間連系線の活用などにより広域での系統運用が始まるまでの「暫定的な」位置づけの措置と理解しています。
新エネ小委員会でも「原発の想定が現実的か」との指摘がありましたが、今回の接続可能量の算定は、福島第一と第二の一部を除き、既存の原発がすべて稼働することを前提にしています。今後、廃炉が決まったり、地域間連系線の運用が変わったりすれば、接続可能量は当然増えます。事務局(経産省)も同じ認識と理解しています。そういう意味でも「暫定的」と考えています。
――それでも、再エネ事業者のなかには、「無補償・無制限の出力抑制によってファイナンスが付かなくなる」と危惧する声が多いのも事実です。
高村 固定価格買取制度(FIT)の良さは、投資回収の予見可能性を高めることで、事業のファイナンスが容易になり、再エネ投資が加速的に進む点にあります。太陽光が急拡大したのも、まさにその効果が表れたといえます。「無補償・無制限の出力抑制」というと、その投資のリスクが読めず、投資が委縮してしまうことが懸念されるのももっともです。