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順調に市場が立ち上がり
2009年にはメモリーの主役に

 DDR3 SDRAMの立ち上がりは順調だった。DDR3 SDRAMの市場投入は2007年ごろからスタートした。Intelが2007年に投入したIntel 3シリーズチップセットに合わせたためだ。当時はCPUとチップセット(メモリーコントローラーを内蔵)を結ぶFSBがボトルネックとなったため、DDR3に替えても性能面での優位性はあまり無かった。主流はDDR2だ。Intelは引き続き2008年にIntel 4シリーズのチップセットを発売したが、状況は変わらなかった。

 一変したのは2008年末。Intelが投入したCore i7と、翌2009年に投入したCore i3/i5シリーズはDDR3のみに対応したため、マーケットは急激にDDR3へと舵を切る。AMDも2007年末にリリースしたPhenomでSocket Am2+に対応して、DDR3への筋道を用意した。2009年のPhenom IIでSocket AM3にパッケージを切り替え、DDR3への移行を果たす。2009年には、一番よく使われるメモリーが、完全にDDR3に切り替わった。

 2007年の発売当初は、DDR3-800がモバイル/サーバー向けで、メインストリーム向けはDDR3-1066が中心だった。2009年にはDDR3-1333が広く普及し、DDR3-1600も若干ながら流通を始めた。

 実はこの時点で、既にDDR3-1600を超えるオーバークロック動作の製品も流通し始めていた。これはIntelがX38チップセットに合わせて、新しくXMP(eXtremeMemory Profile)という規格を策定したためだ。XMPはDIMMのSPDを拡張し、オーバークロック動作のプロファイルを格納する規格だ。ただし、最近のCore iシリーズは上位のアンロック版でないと事実上オーバークロック不可能で、あまり重要視されていないのが実情だ。

DDR4の規格策定は二転三転
延命のため規格が追加に

 DDR3は当初、DDR3-1600まで策定し、これより広い帯域はDDR4で対応する計画だった。ところが、DDR4の規格策定が二転三転し、一度は白紙に戻ったりしたため、DDR4の普及開始時期は大幅にずれ込んだ。

 DDR3登場時の予想では、DDR3は2011年ごろがピーク。DDR4が2009年に製品化され、2013年にはピークを迎える見込みだった。実際には、2013年の現時点でもDDR4対応の製品は存在しない。JEDECでDDR4の仕様が最終的に定まったのは2012年9月であり、まだサンプル品の評価段階だ。実際に製品が市場に出てくるのは2014年以降、市場の大半を占めるのは2015年以降と予測されている。つまり約3年の遅れが発生しているわけだ。DDR4が出てくるまでの間、DDR3を延命する必要が生じた。

 このためJEDECは、「JESD79-3D」でDDR3-1866とDDR3-2133を定義した。もともとDDR4で対応するはずの帯域だが、DDR3でカバーするための拡張だ。

 DDR4には低電圧(1. 2V)駆動による省電力性という魅力もあった。そこで「JESD-79-3 Addendum No.1」で2010年7月にDDR3L-800~DDR3L-1600が追加された。これは既存のDDR3-800~DDR3-1600と同じスペックながら、電圧を1.35Vに下げた規格だ。さらに2011年10月には「JESD-79-3 Addendum No.2」が追加され、電圧を1.25Vに下げたDDR3U-800~DDR3U-1600が定義された。モバイル向け、あるいは高密度サーバー向けを想定した規格で、これらの低電圧規格のメモリーを使えば、消費電力を下げられる。

 さらに、Micron TechnologyやSKHynixが独自規格として、「DDR3L-RS」という製品を投入している。DDR3Lをベースに、Self Refreshの際に、動作温度に合わせてリフレッシュ間隔を伸ばして、消費電力を減らす仕組みだ。Self Refreshは、メモリーコントローラーがリクエストしなくても、DRAMチップが勝手にリフレッシュ動作を実行してデータ内容を保持するモードのこと。モバイル向けのプラットフォームでDDR3L-RSへの対応予定がある。

 こうした延命策により、DDR3は当初の予定を大幅に超え、2014年までメモリー市場の主役にとどまり、2015年前後にDDR4と交代するというのが現在の予想だ。