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HIV検査の重複回避で30億円削減

 PCIPの設立には、工藤氏の上司でもあるCDC(米国疾病管理予防センター)の16代所長を務めるトーマス・フリーデン博士が関わり、博士自らが論文を書いて90億円の助成金を受けることに成功した。そしてクラウド型サービスを利用してわずか3カ月で医療データのネットワーク化を実現。ネットワークには診断予約管理、電子レセプト、検査結果の電子ファイル連携、電子処方せん、電子診療報酬請求コードなど、数多くのデータが含まれる。

 PCIPによる取り組みでは、ニューヨーク市全域の300万人の患者(2013年2月時点)をカバーし、患者一人あたり年間50米ドル、計1億米ドル以上の医療費削減を達成。加えてデータサイエンティストによる分析を通して、治療品質を落とさない努力も怠らなかった。単なる医療費の抑制にとどまらず、医療機関と分析チームが情報を共有することで、医療の質向上や医療ミスの減少といったポジティブな結果が生まれた。

Primary Care Informationの効果
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 「PCIPを活用して、リアルタイムの診療情報をもとにインフルエンザの休校を能動的に実施したり、カルテデータの連携によって、軽犯罪の刑務所における受刑者のHIV検査の重複を回避したりすることができた。特にHIV検査は年間30億円もの費用削減につながり、非常に感謝された。この取り組みが軌道に乗った理由は、ニューヨーク市が直接データセンターを運営するという英断を下したことも大きい」(工藤氏)