監視カメラや発電量の遠隔監視では防ぎきれない

 これまで点検の対象としていた事業所や工場などの受電設備と違い、太陽光発電所は無人の場合が多く、しかも、通行の少ない場所に立地することもあります。

 外周をフェンスでしっかりと囲っている場合でも、監視カメラの死角となる場所で、フェンスを切り取って侵入されたケースも知られています(図2)。

図2●フェンスで囲っていても、資材を盗難される場合がある
写真は建設中の太陽光発電所の例。盗難事件の被害に遭った発電所とは異なる(出所:日経BP)
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 中部電気保安協会の顧客の発電所の例では、深夜2~3時ころに送電ケーブルが盗まれた形跡があり、PCSの異常の警報が通知されました。深夜は通常、警報が発されることがありません。太陽光が照射していないので、元々、発電量がゼロだからです。

 しかし、この事例では、警報が通知されたために、何らかの状況変化が生じたことに気付きました。

 ただし、警報の内容がPCSの異常であったため、深夜に、直ちに担当者が出向くことは難しく、翌朝以降の対応で、送電ケーブルが盗まれたことを把握することとなり、対応に課題を残しました。

 中部電気保安協会の顧客ではありませんが、複数回も送電ケーブルが盗まれた太陽光発電所があるようです。こうした場合、再発防止のために、太陽光発電所の施工方法も見直す必要があると思います。

 PCSから昇圧器までの送電ケーブルは、地中に埋設するのがベストです。しかし、工期の短縮や、コストの削減を目的に、簡易な敷設方法を採用している太陽光発電所は、ターゲットにされやすいかもしれません。

 太陽光発電所において、投資効果を高めるために、コストの削減を重視することは理解できます。しかし、コスト削減を過剰なまでに追求すると、安全性や盗難対策が不十分となってしまう恐れがあります。

 発電事業は20年間続き、太陽光発電所は半恒久的な施設となります。長期間運営することを考慮し、起きうるリスクを想定して建設するのが、望ましいと考えます。

 監視カメラを使った遠隔監視システムによる対策も重要ですが、導入していても、盗難を防ぎきれない場合もあります。

 最も有効な対策は、しっかりと地中に埋設するなど、発電システムとして正しい在り方で、かつ、盗難防止にも効果のある設計を採用することでしょう。

(次回は、4月2日(木)に掲載予定)