発電電力は売電し、排熱は消化タンクの加温に活用
実は、垂水処理場では、FITがスタートする以前に、消化ガスを使った定格出力660kWのガスエンジン・コージェネを導入していた(図8)。こちらは、電力会社に売電せずに、全量を所内で自家消費し、排熱を消化ガスタンクの加温に利用していた。それでも、このガスエンジンだけでは、発生する消化ガスを使い切れず、2~3割は余っていた。
そこで、メガソーラーと合わせて、350kWのガスエンジン・コージェネを導入することで、消化ガスの全量を使い切れるようにした。ただ、消化ガスは、冬期は増加して、夏期は減少する。気温の高い夏は、汚水が下水処理場に流入する前に、下水管の中で分解が進んでしまうためだ。年間を通じで消化ガスの量は30~40%も変動する。14台の小型ガスエンジンを台数制御することで、こうしたガス燃料の変動にうまく対応できるわけだ。
垂水処理場では、平均して3200~3300kW(3.2~3.3MW)の電力需要がある。先行して導入した出力660kWのバイオマス発電によって、その約2割の電力を自活できるようになった。増設した約2MWのメガソーラーと定格出力350kWのバイオマス発電を所内系統に連系し、自家消費することもできたが、経済性を優先して、全量をFITによる売電にした(図9)。