金融機関へのリスクと対応策の提示
――他の一般的な事業では、全体のリスクやそれぞれの機器に生じうるリスクが、一定の範囲で共有され、対応策も整備されていることが多いでしょう。太陽光発電の場合、売電市場が本格的に立ち上がったばかりということを考慮しても、未整備なことが多いように感じます。何かトラブルが生じた時に、EPCやO&M、発電設備メーカーの間をたらい回しにされたという例も耳にします。
沼田 リスクを補完する仕組みの一つとして、保険があります。しかし、発電設備にトラブルが生じた時に、本当に保険が適用されるのかどうか、わからないということも想定しておかなければなりません。
実際に、取引先のメガソーラーでは、太陽光パネルの裏面に取り付けられたジャンクションボックスが過度に発熱し、不具合の可能性が高いにもかかわらず保険を適用してもらえなかったという例がありました。前例が少ないために、こうしたリスクもあるのです。
また、金融機関に対して、リスクとその対応策を、明確に示す必要があります。固定価格に基づく事業だといっても、5年後、10年後にどのようなトラブルが生じ得るのか、その対応策をどのように準備しているのか、今回の仕組みによって、最大のリスクである、太陽光パネルの劣化の把握と対応策を示すことができます。
――太陽光発電では、分野や業際を超えた問題について、認識されていても、主導して解決しにいく企業は限られているように見えます。

沼田 太陽光発電に関わってきた企業であれば、認識していたものの、潰し切れていなかった問題の一つだと思います。
今後も、疑問に感じたことを専門企業に質問し、分野を横断しないと解決できない問題であっても、避けることなく、潰していくつもりです。
こうした課題に対して、食品分野の企業が、特許まで出願し、課題を解消できるきっかけを提供できたら、面白いし、意義のあることだと感じます。