第1種農地を転用してメガソーラー建設

――電力会社の送電工事との違いはどの辺にありますか。

青木 技術面は専門知識でクリアできますが、意外に苦労するのが、土地の問題です。電力会社の送電線工事であれば、公益事業になるので法的にも優遇されており、例えば農地転用も容易です。だが、風力や太陽光は民間の事業なので、そう簡単ではありません。風車もそうでしたが、設置費用には補助金が出るなど政策的に後押しされますが、自営線を長距離、敷設しようとすると、関連する制度はそのままなので、苦労します。土地利用に関して公益と民間の差が大きいのです。

 宮城県石巻市では、出力10MWクラスのメガソーラー「石巻泊原太陽光発電所」のEPC(設計・調達・施工)サービスを担当し、発電事業にも参画しました(図1)。実は、この発電所は第1種農地を転用して建設しました。当初は、これが認められず、石巻市に理解、支援をいただき、復興特区という形にすることで、ようやく農地転用が認められました。

図1●宮城県石巻市に建設した「石巻泊原太陽光発電所」(出所:東光電気工事)
[画像のクリックで拡大表示]

――復興に関連した東北でのメガソーラープロジェクトに熱心な印象を受けます。

青木 石巻市のほか、岩手県洋野町、福島県飯舘村の3カ所でメガソーラーの建設に乗り出しています。発電事業にも参画します。いずれも10MW程度の規模です。東日本大震災の復興事業で一翼を担う、などという大それた考えはありません。もともと大震災の前から、東北の自治体などとは、風力発電の建設でつながりがあったのです。

 震災後に、被災地の人たちに「もう風車どころではないので、プロジェクトは凍結するしかないですよね」などと、相談したところ、「こういう時だからこそ、再エネの開発で地域を元気づけたい。なんとか力を貸してほしい」と持ち掛けられたのが始まりです。そうした経緯から被災地の3つのメガソーラープロジェクトは、すべて地元企業との共同出資による発電事業です。運営段階でも、数人の管理者を地元から雇用して常駐するなど、地域の活性化に配慮しています。