浮き沈みは再エネ事業の宿命
――今後、発電事業にも、積極的に乗り出す方針ですか。
青木 EPCサービス事業を請け負うビジネスが基本です。発電事業まで踏み込んだのは、復興地域の3つの案件だけです。逆に言うと、発電事業が主体ではないので、共同出資したり、複数の常駐管理者を置いたりするなど、多少、収益性を犠牲にできたともいえます。発電事業で全国にメガソーラーを展開しているような会社は、発電事業からの収益を最大化する必要があります。
――買取価格の低下と共に、地域によっては無制限・無補償で出力を抑制されることが接続条件になるなど、太陽光発電の事業性に不透明感が出てきました。今後のメガソーラー事業をどのように見ていますか。
青木 いまのメガソーラーを巡る状況は、風力発電の歩んできた道を連想させます。当初、風力発電は初期投資の3分の1から2分の1が補助されるなど、国の支援が厚く、再生可能エネルギー推進のリード役として、期待を集めました。そうした追い風の中で、多くの企業や自治体が続々と風力発電に参入しました。だが、普及するに従い、環境アセスメントが必要になったり、低周波問題などでマスコミがネガティブキャンペーンを始めたりするなど、逆風が吹き始めました。

風力発電に参入した企業のほとんどは、潮が引くように一斉に撤退していきました。そうしたなかでも、東光電気工事は、逆風に耐えながら、細々と続けてきました。昔、風力を手掛けたことがある企業経営者などから、「まだ、風力をやっているのか」などと言われることもありましたが、ひるまずに風力発電事業に取り組んできました。そして、固定価格買取制度(FIT)の開始によって、再び、風力発電事業への関心が高まっています。
再生可能エネルギー事業は、自立的に成り立ち、市場が成長していく段階には達していません。事業性や成長性は、国の政策次第という側面が大きいのです。その時の政権や政府のエネルギー政策の影響を受け、いい時と悪い時の差が大きくなりやすいという宿命があります。