雪の少ない八戸に適した新事業

 青森県には六ヶ所村などに、数10MWクラスの国内最大級のメガソーラーの建設が続々と進んでいる。だが、そのほとんどは、東京に本社を持つ、資金力ある企業が開発を主導している。こうした“植民地型”のメガソーラーに対しては、地域活性化の視点から疑問の声もある。田名部社長は、「東北地方の建設業界は、復興需要の後を見据え、新たな仕事を作っていく必要がある。再生可能エネルギーはその有力な分野になる。建設時の工事だけでなく、運営を地元が担っていきたい。そのためにも数多くのサイトを地元主導で建設していく意義は大きい」と話す。

 八戸市は、初春に行われる伝統的な民族芸能の「えんぶり」で知られる(図6)。えんぶりは、雪解けの季節である2月、その年の豊作を祈願するための舞を披露する。八戸の冬は、雪深いイメージがあるが、北東北にありながら、降雪量が少なく、晴天が多いため日照時間も長い。平野も多く、台風も少ない。固定価格買取制度(FIT)が始まると、こうした太陽光発電に適した八戸の風土に目をつけ、多くの大手資本が、メガソーラー用地を探しに来たという。

図6●田名部組の本社を訪れた「えんぶり」の様子(出所:日経BP)
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 実は、それまで田名部組は、風力発電の開発に力を入れていたが、環境アセスメントなどに時間がかかっていた。メガソーラー用地を探索する大手企業の動きを見て、「風力発電の開発をいったん中断し、まずメガソーラー開発に走れ、と号令を出した」(田名部社長)。建設後の運営業務の効率を考え、本社から1時間程度の距離を中心に、適地を探した。地域での圧倒的な知名度と信頼感を背景に順調に確保できたが、課題は資金調達だった。

 アマテラス プロジェクトで、地域の中堅企業でも、10MWを超えるメガソーラー事業での資金調達の先例ができたことは、地域主導の再生可能エネルギー開発を目指すうえで、注目される。