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講演する落谷氏
講演する落谷氏
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エクソソームで転移を制御

 マイクロRNA、そしてその“箱舟”のように機能するエクソソームが、がんの増悪や転移にどのようにかかわっているのか。ここにきて、その詳細が明らかになりつつある。

 がん組織は一様でなく、通常のがん細胞のほか、“親玉”とされるがん幹細胞や正常な細胞など、さまざまな細胞から成る。これらの細胞は互いに多くの情報をやり取りしており、エクソソームはこれに深く関わる。例えば、がん細胞は血管内皮細胞にエクソソームを送り込むなどし、「エクソソームを使って転移を制御する」(落谷氏)ことが分かってきた。例えば、がんの増殖や転移に必要な血管新生をエクソソーム(に内包されたマイクロRNA)が媒介するという。

 逆に言えば、エクソソームの分泌を止めることでがんの転移を抑えられる可能性があるわけだ。あるケースでは、がん細胞によるエクソソームの分泌にセラミドの合成経路が関与しており、その経路を止めることでエクソソームの分泌を止められるという。マウスを使った卵巣がんの腹膜播種(はしゅ)に関する実験では、がん細胞によるエクソソームの分泌を止めることで転移を抑えることができた。がん細胞の増殖を抑える働きを持つマイクロRNAも既に見つかっている。このように、マイクロRNAを運ぶエクソソームとがんの関係を明らかにすることで「治療法も見いだせる」(同氏)可能性が出てきた。