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講演する落谷氏
講演する落谷氏
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いずれは尿や唾液でも

 尿や唾液のように、苦痛なく採取できる試料が使える可能性もある。実際、尿に含まれるエクソソームを使って、膀胱がんを検出できる可能性が示唆されている。落谷氏は、線虫を使って1滴の尿からがんを診断できる可能性が最近示されたことに触れ、尿によるがん診断への期待を示した(関連記事4)。

 こうした、エクソソームやマイクロRNAに着目したがん診断や個別化医療の研究に取り組んでいるのは、日本だけではない。世界中で研究が活発化しており、特に米国ではオバマ大統領肝いりの「Precision Medicine (精密医療)」プロジェクトの鍵を握る技術として、精力的に研究が進められている。「我々も負けないようにしたい」と落谷氏は語る。

 既に、一部ではマイクロRNAとがんの関係を利用したがん治療薬の臨床研究が進んでおり、食品に含まれる天然活性物質によって体内のマイクロRNAを制御できることも明らかになってきた。マイクロRNAとその箱舟であるエクソソームに関する研究は近い将来、がん医療に大きなパラダイムシフトをもたらしそうだ。エクソソームという「ナノパーティクルの中に大きな“希望”がある。このパンドラの箱を、我々は開ける」(落谷氏)。