土地貸しに比べ、1億円以上の収入増に

 実は、羽生市では、同発電所を建設する前、別の市有地を太陽光発電設備の建設を目的に民間企業に賃貸しした実績もあった。その際の賃料は1m2当たり年間350円。仮に羽生市太陽光発電所の事業用地(約8567m2)を民間企業に同じ賃料で貸した場合、20年間の賃料の収入は、約6000万円に留まる。単なる「土地貸し」ではなく、5年リースで発電事業まで踏む込むことで1億円以上も収入が増えることになる。

 もちろん、発電事業者になることで、天候不順による日射不足など、事業リスクを負うことになる。まして、リース期間が終了して、発電設備を所有した場合、設備に不具合が起きた場合の追加コストのリスクも負うことになる。5年という短期間のリースで収益性を高めた分、15~20年の長期間のリースに比べて、相対的に事業リスクは大きくなる。

 この点に関し、河田市長は、「5年リース方式に決めるに当たっては、太陽光発電の長期信頼性について自分たちで独自に調べた。具体的には、20年近く太陽光発電を続けている研究所などを訪問して、発電量の低下などについて直接、説明を受けた。こうした調査の結果、いまの太陽光発電の技術なら20年間、十分に発電し続けるし、36円/kWhの買取価格であれば、市が発電事業者となっても大丈夫だと判断した」と打ち明ける。

 もちろん、それでも事業リスクはゼロではない。「これからの自治体経営には、企業的な考え方も必要。温暖化対策を率先することに加え、リスクを最小にしつつ、市の財政に少しでも多く貢献できる方式を選択した」と、河田市長は言う(図6)。

図6●環境問題への啓発と共に市の財政にも貢献する仕組みに(出所:日経BP)
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 国際L&Dの金丸直幹社長は、「リース期間を5年に設定し、その後、設備の無償譲渡を受ける、という方式は、自治体にとって、非常にメリットが多い」と話す。というのは、「太陽光発電事業で最もリスクがあるのは、建設段階と稼働後、5年ぐらいまで。計画通り完成するリスク、そして、稼働後、5年ぐらいまでに大方の初期不良は出尽くす。それを乗り切ると、発電所の運用は安定し、相対的に事業リスクは下がる」(金丸社長)という。