PR

 変化の時代と医療イノベーション――。日本医療機器産業連合会(医機連)が2015年6月9日に東京都内で開催した講演会では、このような演題でボストン コンサルティング グループ日本代表の御立尚資氏が講演した。

御立氏
[画像のクリックで拡大表示]

 御立氏はまず「ウクライナ/ISIS」「ゲリラ豪雨/巨大台風」「乳幼児死亡率低下」という3つのキーワードを示し、一見無関係な事柄に見えるが、実はこれらはすべて関連していて変化の表側であると指摘した。

 では、その裏側は何か。背景にある構造の変化として、人口の劇的な増加やグローバル化、世界中が工業社会化していることなどを挙げた。「一極集中で米国という世界の“警察官”がいた時代から、多極分散で明確な警察官がいない時代に突入。地政学リスクが拡大するなど、これから30年くらいは変化が大きい時代になるのでは」と予想した。

 人口変動については、今世紀末ぐらいに地球上の人口が110億人でピークになる、という国連の人口予測を紹介。その理由として、世界中が工業社会化することで保健衛生が良くなり、乳幼児の死亡率が劇的に減ること、また、ある程度豊かになると人口増加が減り、合計特殊出生率が2に近づくという人間の特性を紹介した。これは地域などに関わらず、みな同じ傾向にあるそうだ。

 寿命が延びて高齢化し、人口増が止まるということは、将来、世界中が今の日本と同じような状況になること。その結果、生じる影響について、テロや戦争の大きな要因として、若者の失業者を挙げ、「高齢化の影響が生じる今世紀後半には、かなり地域紛争が収まってくる」との考えを述べた。

 また近年のデジタル技術の進歩についても紹介。情報を加工するコストや蓄積するコストが劇的に下がったこと、情報をやり取りするネットワークが生まれたことを挙げ、さまざまな業界がものすごいスピードでどんどん変わっているとした。

 そのうえで、高齢化で健康産業は成長産業と思っている人がいるが、医療費の高騰と社会保障費の削減という状況でどうやって成長するのか。「本来は減らすべきところと増やすところ、両方がないとありえない。高齢化が進む中で社会保障費を上げないために何をすべきか議論しないと、成長産業は生まれてこない」と訴えた。