今は発電量が下がっていないが…
中国にあるトリナ・ソーラーの研究所による分析では、スネイルラインが生じた周囲では、銀の成分が多く見つかる傾向がある(図3)。
セルの製造工程における、プラズマCVDと呼ばれる化学気相成長プロセスが影響している可能性も検討したが、無関係なことがわかった。
分析の結果、樹脂製バックシートに含まれる水分が、銀の酸化を促進しており、酸化銀が関与する化学反応によって、スネイルラインが発生していることがわかってきた(図4)。
スネイルラインの発生によって、発電量が低下するかどうかが、最大の問題となる。
トリナ・ソーラーの分析によると、スネイルラインの発生後、すぐに発電量が大幅に減少することはない。ただし、発電量が完全に落ちないとは言い切れない。
さまざまな耐久試験による数値を見ると、発電量の低減を示す結果は得られていない。だからといって、完全に安心できるのかどうかは、まったく別の問題だとする。
スネイルラインは、マイクロクラックが生じている場所で発生するからである。微小な割れが生じている以上、何らかのトラブルの起因となる可能性がある。
国内のメガソーラーでも、稼働して1~2年後で、すでにスネイルラインが発生しているケースが見られる。現時点で発電量に影響しないとしても、今後、経過を観察していく必要がある。
(次回は、7月9日に掲載予定)