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 日本医療情報学会は、2015年6月11日から3日間に渡り、宮城県仙台市の仙台国際センターで「第19回日本医療情報学会春季学術大会」を開催した。今大会のテーマは「羅針盤:医療情報学の位置~実学、研究、教育」。大会長を務めた東北大学大学院医学系研究科教授の中谷純氏は大会長講演で、現在の医療情報学の意義、将来進むべき医療情報学の方向性を示した。

大会長講演に登壇した東北大学大学院医学系研究科の中谷純氏
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 中谷氏はまず、医療情報学の対象分野が医学、情報学、経営・経済、統計学など非常に広いことを指摘。一方、医療は情報を収集し、現況の把握と未来予測を行い対策する分野であるとし、「情報はすべての医療の出発点であり、結論であると考える」と述べた。

 その上で、情報を扱う医療情報関係者は医療の礎を担う人々だとし、医療・医学分野の1つである限り医療情報関係者は、“医療の心”を持って情報を扱う必要があるとも指摘した。「医療の心とは、人を大切に思う心であり、それは情報技術や解析技術よりも重いものだ。一方、技術がないと医療の心を実現できないというのもこの分野の事実。したがって、日々技術研鑽を積む必要がある」と医療情報学に携わる関係者の姿勢を説いた。

 これまで医療・医学研究における医療情報と言われるものは、疾患に関する情報、その診断・治療情報にかかわる情報、疾患原因と考えられる環境情報などが、臨床科ごと、研究分野ごとに異なる視点、異なる分類で整理されてきた。中谷氏は、今後の医療・医学研究ではこうした医療情報に加えて網羅的分子情報(オミックス情報)が重要な位置付けとなると強調。「ゲノム情報から始まり、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームと多層階に関連しながら展開されていく。したがって、今後の医療情報は、多量・多視点・多階層で、可変性・個人情報という特徴を持つ“巨大で繊細な情報”となる」と中谷氏。そして、こうした情報の処理が前提となる今後の医療・医学研究では情報支援が欠かせず、社会情報基盤が必須だと述べた。