「駅補助電源装置」を6駅に設置

 東西線・妙典駅ホームの端から、実際に稼働している「駅補助電源装置」を見られる(図9)。高さ1mほどの筐体が線路の間に設置されている。注意深く耳を澄ましていると、時折、「キーン」という高い音が聞こえる。これはインバーターの心臓部ともいえるスイッチング素子から出るもので「磁励音」と呼ばれる。直流を交流に変換している“合図”とも言える。

図9●妙典駅のホーム近くに設置した駅補助電源装置
(出所:日経BP)
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 駅補助電源装置の磁励音を聞いていると、断続的、かつ不規則に稼働していることが分かる。同装置は、電車線を流れる電圧が一定の値を超えると自動的に稼働し、電車線の直流1500Vを交流210Vに換え、駅の送電網に供給する。電車線の電圧は直流1500Vが基本だが、電車から回生電力が供給されると部分的に電圧が上昇する。従って、駅補助電源装置が稼働しているということは、その近くの電車が回生ブレーキを使ったことになる。

 実は、電車が回生ブレーキを使えるか否かの判断も、電車線の電圧を監視して決めている。1500Vより一定以上、電圧が高い場合、近くに電力需要はないと判断して、機械ブレーキに切り替わる。駅補助電源装置によって電車線が駅の負荷とつながったことで、電圧の上昇が抑制され、回生電力を活用できる機会が増えた。

 東京メトロでは、2015年3月までに、妙典駅のほか、7駅(茗荷谷、東陽町、西船橋、池袋、有楽町、豊洲、新木場)に駅補助電源装置を導入した。1駅当たり1日約600kWhの回生電力を活用できる見込みで、8駅合計で年間約175万kWhの省エネ効果となる。