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医師が入手できる情報は限られている

 医師は意外と情報が手に入りません。他の病院・診療所ではどのような処置をしているのか、新薬の処方がどのくらい浸透しているのか、各分野の専門医は今何をファーストチョイスとして処方しているのか。副作用の発現頻度がどのくらいで、どこに一番注意したらよいのか。ガイドラインに記載されている分岐条件は具体的にはどの数値で判断すべきなのか。

 このような情報を入手するために、医師は学会や医師会、勉強会などに参加して情報を収集しています。中には製薬企業のMRや製薬卸のMSから情報を入手している医師もいると思います。レセプトコンピュータや電子カルテの導入が進んではいるものの、人を介した情報収集に依存しているのです。前述した診療分析・経営分析のシステムから入手できるのは、所詮、自分の所属する医療機関のものに限定されてしまいます。

 日本全国、いや全世界の情報をリアルタイムで入手できるようになれば、医師はより多くの選択肢の中から最適な判断ができるようになるのではないでしょうか。

地域医療連携をしても残る課題

 各地方自治体が取り組んでいる診療情報連携は、患者の情報を関連する医療機関同士で共有することによって、医療行為の重複防止や患者からの情報提供不足による不適切な医療行為を防止することにも寄与する、素晴らしい取り組みです。

 しかし、この医療連携が上手く機能するには、各医療機関がそれぞれの專門分野における役割をきちんと果たした上で、患者を順に受け渡していくことが前提となります。ある時点において万が一担当者(医師など)が間違った判断をしていたとしたら、その後の情報連携の仕組みがあったとしても適切な医療・ケアを提供することができない可能性があります。

 具体的に言うと、専門医や他の医療機関に紹介するかどうか、薬剤を併用しても大丈夫かどうかという判断そのものは、始めに診た各專門領域における担当者が行います。その担当者が適切な判断・処置をできなければ、その後の連携にまでつながらないこともあり得るのではないかと思います。このように医師個人の知識や経験に基づく判断が発生する部分においては、地域医療連携が推進されても解決することは難しいと考えます。