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治療法や診療行為ごとのテンプレート入力を基本とする電子カルテ

 2013年4月から越田クリニックに勤務している山田氏は、自らFileMakerで開発した経験はなかった。しかし、10年勤務した前任医療機関の国立病院機構 大阪医療センター産婦人科では、日常診療の中でFileMakerを使用してきた。大阪医療センターは、メーカー製電子カルテの入出力インターフェースとしてFileMakerを用いたカード型電子カルテを全面的に運用している。同医療センターの医療情報部長で産科医長の岡垣篤彦氏に相談したことをきっかけに、FileMakerによる生殖医療用電子カルテ開発がスタートした。実際のシステム開発は、岡垣氏の紹介でFileMaker Business Alliance(FBA)の一員であるアイフロント西日本支社が行った。

 開発した生殖医療用電子カルテは、基本的にカード型カルテを作成するイメージで、それぞれにテンプレートを用意して標準化された形式で、容易な入力を可能とし、それらの情報が診察歴やオーダー歴などのロールペーパー様式にまとめられるような仕組みとなっている。

看護師が面談等を行う処置室
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 不妊治療では、初診における問診と、医師および看護師との面談で治療方針を決定し、その後の再診で人工授精や体外受精など、それぞれの治療計画に沿って治療を進める。初診時の問診票をベースに、結婚、妊娠歴や既往歴、過去の不妊治療歴などの情報を加えた基本患者情報カードが作成される。カルテ画面構成は、初診・再診選択の患者トップ画面のほか、タイミング/AIH、IVF、胚移植、妊娠、手術など、治療法や主要な治療行為ごとに画面(レイアウト)が用意されている。

カルテ選択のメニュー画面
(左:1.初診メニュー、右:2.体外受精メニュー)
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 個々の治療行為ごとにメニュー画面があり、記載すべき事項はすべてテンプレートを用いて詳細を入力する。例えば、タイミング法および人工授精では「卵胞期」「AIH」「黄体期」「妊娠判定」、体外受精では採卵と胚移植の2プロセスがあるため、採卵に関する各種テンプレートが用意されている。胚移植は別メニューとして詳細な記載ができるテンプレートがある。

3.採卵決定の治療計画
体外受精の採卵に関するカルテ入力画面。採卵治療計画書と連動する。
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 「採卵に際しては、排卵誘発剤使用後の卵胞の大きさ、数がどの程度であるかの所見と子宮内膜や血液検査(ホルモン検査)などから採卵治療計画を決定します。この採卵治療計画入力のテンプレートと患者さんに渡す採卵治療計画書とは連携しており、入力した内容はそのまま計画書としてプリントアウトできます。また、患者さんに説明しながら計画書画面に入力すると、入力した内容はカルテの治療計画テンプレートに転載されます」(山田氏)。

4.採卵決定の採卵治療計画書画面
実際には患者さんに治療計画を説明しながら採卵治療計画書画面で情報を入力。データは採卵における治療計画画面に転載される。
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5.培養Day0
培養カルテの採卵・受精初日の入力画面
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 一方、体外受精における受精卵の記録管理に欠かせない培養カルテも実装している。採卵結果の情報および受精状態を記録する初日のデータに加え、胚分割数や各胚のグレードなどの観察記録が、胚培養士によって数日ごとに入力される。越田クリニックでは、「EMBRYO SCOPE」という受精卵観察用のカメラを備えた培養器も使用しており、培養中の受精卵の成長をタイムラプス画像として記録することができる。受精卵を培養器から取り出さず、一定の環境を維持したまま成長過程を観察・記録できるのが利点だ。なお、「画像を培養カルテに取り込むことも可能ですが、客観的に評価した胚のグレードなどをきちんと記録していれば、培養カルテのレスポンス低下を招く危険性のある画像データは不要と考えています」(山田氏)という。

培養中の受精卵の成長をタイムラプス画像として記録することが可能な培養器
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