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<基礎研究への回帰>
物理に眠る宝の山を
源流に戻り掘り起こす

 「左手系メタマテリアル」「スピン注入磁化反転」「強相関系材料」…今まであり得ないとされてきた材料や現象が相次いで現れている。ごく最近見つかったこれらの物理学上の成果を,いち早く実用化に結び付けようと開発に着手したエレクトロニクス・メーカーが幾つもある。背景には,既存の技術の延長では製品の差異化が極めて難しくなったことがある。理論・実践とも急速に発展している物理学が,この苦境を脱する活路とみる。一歩でも源流にさかのぼった研究開発に,大きな果実を得るチャンスが潜む。

<左手系メタマテリアル>
常識を覆す各種部品を実現
ハードルは挿入損失の低減

 屈折率が負,搬送波の波面と変調信号の進行方向が逆になる,波長無限大なのにゼロでない振動数を持つ共振モードがある,マイクロ波や光の「磁界」を利用できる——。
 「左手系メタマテリアル」(左手系材料)と呼ぶ人工的な物質群は,こうした従来の常識ではあり得ない特性を多数持つ。最初の実現例の登場が1999年,応用の可能性が見えてきたのが2002年と,研究開発は始まったばかりだ。

<スピン注入磁化反転>
MRAMは「究極の高速メモリ」へ
電子をぶつけて磁化を反転

 SRAM並みの高速性に,フラッシュ・メモリと同様な不揮発性,そして書き換え回数は無制限——こうした特性を持つ「究極のメモリ」につながる成果を,2005年12月にソニーが発表した。不揮発性を持つ8Kビットのメモリ・セル・アレイを試作,書き込み時間2nsを実現した。今後集積度を高めることができれば,設計ルール45nm以下でSRAMや混載DRAMを代替できる不揮発性メモリへ進化しそうだ。

<強相関系材料>
超高密度メモリを求めて
カギは材料と原理の追究

 素子の抵抗値を変化させて情報を記録する不揮発性メモリ「ReRAM(resistive RAM)」の開発が,にわかに注目を集めている。2005年12月に開催した半導体関連の国際会議「2005 IEDM」では,韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.や米Spansion LLCが最新の試作例を報告。このほかにも,水面下では国内外の多くの企業がReRAMの開発に着手しているもようだ。例えば米Intel Corp.は,2005年7月にReRAMに詳しい技術者を集めてシンポジウムを開くなど,情報の収集に余念がない。

<研究開発トップ・インタビュー>
14社の研究トップ
次世代支える技術開発を語る