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日経ものづくり 事故は語る

緊急レポート
風に負けたJR羽越線

気象情報をリアルタイムに
取り込む運行管理が必要に

2005年12月25日の午後7時14分ごろ,東日本旅客鉄道(JR東日本)羽越線の砂越駅と北余目駅間を走行中の,秋田駅発新潟駅行特急第2014M列車「いなほ14号」(6両編成)が,第二最上川橋梁を通過し終えたところで1両目から6両目までの全車両が脱線し,そのうち前3両が横転した。この事故による死者は5人(すべて乗客),重軽傷者は32人(乗客30人と運転士・車内販売員各1人)。鉄道事故史上忘れることのできない2005年の最後に再び,大惨事が起きてしまった。

 2006年1月16日現在,航空・鉄道事故調査委員会は「電車が走行中に脱線したのは,強い横風を受けて横転したことが原因である」との見方を固めたようだ。この推定に対し,筆者は妥当と判断している。それは,強風による横転という事故原因を支持する根拠と,強風以外の原因を否
定する根拠があるからだ。
 まず,強風による横転という事故原因を支持する根拠。  第一は,軌道の状況。第二最上川橋梁から200mの地点に枕木傷があり,その20m先の電柱と70m先の電柱は根本から折損していた。枕木の傷とレール締結装置の傷はそれほど多くなく,走行右側のレールや締結装置,枕木に関しては傷がない。これらのことは,車両が走行左側に横転したことを示唆している。
 第二は,運転手の証言。「第二最上川橋梁を過ぎた辺りで,右方向から強い風を受けて電車が左に傾いた」と話している。
 最後は,近辺の状況。事故現場から100数十m北の線路脇では,農機具小屋の一部が線路を越えて約100m東へ吹き飛ばされた。現場から約6km西では風速40mに耐えられる国道7号線の防雪柵が東へ20m飛ばされた。これらは事故現場近辺で異常な強風現象が起きていたことの証しである。
 次に,強風以外の事故原因を否定する根拠。やはり三つある。
 一つ目は,軌道。直線区間であり,道床および路盤には事故以前に大きな損傷はなかった。レール自体の欠損も