
第6回 |
日本市場で取り残されたモノクロの簡易表示用液晶パネル。日本での調達は難しいが,中国では簡単に見つかる。セミカスタムにも対応し,顧客にとっては非常に便利。課題は品質の確保だが,これも低コストでこなす方法がある。(本誌)
遠藤 健治 海外進出コンサルタント
液晶パネルの進化には著しいものがあります。カラー化は当然として解像度が年々高まっていき,応用製品は当初の電卓や時計から,今では携帯電話機や液晶テレビ受像機が主流となっています。しかし,液晶パネルはこうした家電製品ばかりに使われているわけではありません。小ロット製品の代表格である産業用機器にも根強い需要があります。
現在,産業用機器分野でよく使われる液晶パネルは,モノクロのいわゆる簡易表示用液晶パネルです。表示するものは,せいぜい数~数十程度の文字やドットマトリクスによる簡単な描画。従って,これには携帯電話機やテレビ受像機で使うような高い解像度は必要ありません。むしろ,多少解像度が低くても,文字や描画がはっきりと見えるものが望まれます。稼働中に作業員が見落としたり,見誤ったりしないことが重要だからです。
一昔前まで,こうした簡易表示用液晶パネルは日本で非常に多く生産され,どこに行っても入手できるほど幅広く販売されていました。
ところが最近は,こうした簡易表示用液晶パネルを扱う店や部品商社がなくなってしまいました。日本の液晶パネルメーカーが一斉に,価格的に「枯れた部品」となり採算性の合わなくなった簡易表示用液晶パネル事業から手を引き,携帯電話機や液晶テレビ受像機用の高付加価値の液晶パネルに特化したからです。