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日経ものづくり ドキュメント
新シリーズ

プロデュース 躍進する中小企業 第4回

一進一退

【前号のあらすじ】
メカトロニクス分野への進出を果たした,佐藤英児率いるプロデュース。最初は製品の不出来に顧客の怒りをかっていたが,高野博というかつての同窓生を新戦力として迎え,次第に技術力をつけていく。そんなとき,以前からその将来性に目をつけていたセラミックス・コンデンサの電極塗布装置に関する案件が舞い込んだ。より小さなコンデンサに対応する新しい工法を開発してほしいというのだ。だが,一朝一夕にそのアイデアが浮かぶわけもなく,ヒントを求めて各地の展示会を歩き回る佐藤と高野の2人だった。



 プロデュースの小さな開発室で,夜食を取るのが日課となった佐藤英児と高野博。その日も,セラミックス・コンデンサの電極塗布装置の開発に行き詰まった2人は,仕出し弁当を食べていた。と,そのとき,展示会を回って集めてきた資料の山が崩れ,同時に佐藤が開いたカタログを指さして叫んだ。
「使えるよ」
 それを食い入るように見つめる高野。
「これが・・・」
 高野の頭の中で,開発のキーワードがグルグルと駆け巡り始める。セラミックス・コンデンサ,電極,導電ペースト,塗布,小型,微量,均一・・・。これまで,これらを1本の線につなげる解を見つけられずに苦労してきた。しかし今,目の前に突然開いたカタログに載っている金属部品が事もなげに,すべてのキーワードを1本の線につなげてみせた。これまで散々悩み続けてきた日々がうそのように。
「なるほど,そういうことか。おまえの言う通り,こいつは使えるかもしれないなぁ」
 2人が見つめるカタログのページに掲載されているのは「マルチノズル」。液体材料を押し出すシリンダの先端に取り付け,縦横に並んだ無数の小さなパイプ,いわゆるノズルからそれを少しずつ滴下/塗布する金属部品だ。
「よし決まった。高野,これをヒントに,新しい塗布方法を急いで確立してくれ。おまえもよく分かっているように,この開発にはプロデュースの命運がかかってる。頼んだぞ」
「任せとけ。すぐに結果を出してみせるぜ」
 小さな開発室の外は土砂降りの雨。1999年8月に記録的な猛暑に襲われた新潟では9月に入ると,この日のように激しい風雨が続いていたのである。