自動車向け電子機器や電子部品などのいわゆるカー・エレクトロニクスに電機業界の関心が集まっている。多くのメーカーはこの分野の事業強化を打ち出し,マスコミや調査機関はそれを後押しする情報を提供している。こうした状況に懸念を抱いているのが,国内大手証券会社などで電子部品業界のアナリストとして活躍してきた林隆一氏である。自動車1台が搭載するマイコンの個数といった数字が独り歩きしてはいないか,電機業界のエンジニアは自動車業界特有の収益構造や慣習を意外に知らないのではないか,という思いから林氏は筆を執った。今回の論文では,自動車部品市場の魅力とリスクを,半導体や液晶パネルを含まない電子部品市場と相対的に比較しながら分析する。さらに,電子部品メーカーが自動車部品市場で成功するために必要な製品開発の方針や経営戦略にも言及する。(大槻 智洋=本誌)
産業アナリスト
r-hayashi(アットマーク)s7.dion.ne.jp.