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 国内のカーナビ出荷台数は2005年に400万台を突破し,この5年間で約2倍に増えた。自動車メーカーが工場で直接装着する「ライン装着品」と,ディーラーが装着する「ディーラー品」を合わせた,いわゆる純正カーナビの装着率が大きく増えたためだ。これに対して,市販カーナビはここのところ停滞気味である。国内の販売実績に占める市販品の比率は下降の一途で,1999年に約半数を占めていたが,2005年には30%強に減少してしまった。

 国内カーナビ市場において,市販品の比率が下がっているのにはワケがある。自動車メーカーがカーナビをクルマの価値を高める製品と位置付け,純正品にいち早く新機能を搭載しようと画策しているからだ。さらに,カーナビをクルマの制御系システムなどと連動させる動きも出てきており,自動車メーカーにとってカーナビはなくてはならない重要製品になった。

 これまでのカーナビは,カーナビ・メーカーが主導で新機能を市販品に投入し,消費者の反応を見てから自動車メーカーが純正品にその機能を採用してきた。ところが最近,純正品が新機能を積極的に採用しようとしている。例えば,2005年9月にトヨタ自動車は運転席と助手席で異なる画像を表示可能なカーナビを,世界で初めて投入した。開発を担当したのは富士通テンだが,同社はトヨタ自動車の発表から約1カ月後に,同様の製品を市販品として発売した経緯がある。以前であれば,まず富士通テンが市販品として発表し,その後にトヨタ自動車が純正品として採用するという順序だったはずだ。