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高画質に向けた30年の歩み

撮像素子の歴史と今後の展開について,2006年4月12日に本誌が開催したセミナー「イメージ・センサ2006」で黒田隆男氏が講演した内容を基に本誌が整理し,2回の連載で解説する。黒田氏は国内撮像素子メーカーにてCCDCMOSセンサの開発を手掛けた経験を持つ。(宇野 麻由子=本誌)

 撮像素子の進歩は,昔も今も著しい。最近ではCMOSセンサが,これまで撮像素子の主役だったCCDと遜色ない画質を実現したとしており,さらには超高速,高解像度撮影といった特徴まで備えようとしている。本稿では,こうした動きの背景にある撮像素子の歴史を振り返る。撮像素子の原点に立ち返って,今後の展開を考えてみたい。

 撮像素子の歴史は,コストと機器の小型化のために画素を縮小し,なおかつ画質を向上するという相反する課題への挑戦の歴史である。主役は日本メーカーだったといえる。例えば,30年近く前に撮像管から撮像素子への移行に最初に踏み出したのも,埋め込み型フォトダイオードやCMOSセンサの基本課題を解決して,本格量産をしたのも日本メーカーだった。