「産業の米」のICに対し,「産業の塩」と呼ばれる水晶振動子。「クオーツ時計」に始まって,今やほとんどの電子機器で必要不可欠な部品である。ところが最近になって,水晶振動子が動作しないトラブルが増えてきた。具体的な事例から,トラブルの原因と解決策を解説する。(野澤 哲生=本誌)
坂井 義幸
エプソントヨコム 営業統括部 新市場マーケティング部 主任
水晶振動子を発振回路に組み込んだ水晶発振器は,1922年に発明された,電子部品の中でも歴史の古い部品の一つである。当初の主な用途は時計といった,電池で動作するような機器だったが,さまざまな機器への応用が進むとともに,機器自体の多機能化や小型化が加速している。これに従って,以前はほとんど起こらなかった水晶発振器をめぐる問題が家電メーカーの設計部門などから聞かれるようになってきた。本稿では,幾つかの具体的な事例を基に,水晶振動子の適切な取り扱い方を紹介する。