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三菱電機は,光源にR,G,Bの半導体レーザを利用する背面投射型プロジェクタ(リアプロ)を開発した。民生用のテレビを狙ったレーザ光源のリアプロの試作品が公開されたのは,業界初となる。特徴は,色再現範囲の拡大と薄型化を実現したこと。色再現範囲はNTSC規格比で約135%と広く,奥行きは従来の約半分の26cmになった。さらに今回の試作品は,拡大した色再現範囲を生かすことで,次世代の動画用拡張色空間の国際標準である「xvYCC」に対応する。プロジェクターを進化させるために,光源を発光ダイオード(LED)に変える動きが活発になっている今,さらに次世代の取り組みと位置付けられるレーザ光源の採用について,その特徴と実現技術を同社に解説してもらう。(小谷 卓也=本誌)

杉浦 博明
三菱電機 先端技術総合研究所
映像入出力技術部 部長


 三菱電機は,光源にR(赤),G(緑),B(青)の3原色の半導体レーザを採用する背面投射型プロジェクター(リアプロ)を開発した。従来の光源である高圧水銀(UHP)ランプに代えて半導体レーザを採用したことで,画質と形状の両面において,従来のリアプロの概念を打破する特徴を備えるテレビを実現した。

 画質面での特徴は,単色光のレーザ光源を用いたことにより,HDTVの規格であるITU-R BT.709に対して約190%と広い色再現範囲を実現したこと。NTSC規格比では約135%に相当する。これは,現在発売されている一般的なテレビの色再現範囲と比べて飛躍的に広く,我々が2005年に開発した,6原色の発光ダイオード(LED)をバックライト光源に利用する液晶モニターの色再現範囲(ITU-R BT.709比で175%)をもしのぐ。