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日経ものづくり アイデアコーナー

容量が連続可変のオイルポンプ 【TBK】

圧力に応じてギアをスライド

 自動車のエンジンにオイルを供給するポンプでは,ギアの回転はエンジンの動力を利用する。このため,高回転時には必要以上のオイルをエンジンへ供給しようとする状態となり,その結果,無駄に大きなポンプ駆動トルクが必要となる。
 そこでTBKは,吐出側の圧力に応じて容量が変わる2連ギアタイプのオイルポンプを考案した。ドリブン側のポンプギアが軸方向にスライドし,ポンプギア同士がかみ合う幅を変化させることで容量を調整する仕組みだ。
 考案したオイルポンプは,ドライブギア,ドライブ側とドリブン側のポンプギア,ギアホルダ,ばね,筐体で構成する(図)。

日経ものづくり アイデアコーナー1
図●容量が変化するオイルポンプ
ドリブン側のギアを軸方向にスライドさせる仕組みを組み込み,ドライブ側ギアとかみ合う幅を変化させ,容量を連続的に変化させる。


保持力が強いスライド機構 【アドバネクス】

ラックと4個の歯車を組み合わせてロック

 コンソールボックスなど,ふたを水平に動かして開閉するスライド機構ユニットでは,ふたをロックする仕組みが必要になる場合が多い。ふたを完全に閉じた状態でだけロックすればよいのなら,閉じた位置でふたの一部分が筐体にはまり込むような仕組みを加えればよい。
 ところが,ふたを任意の位置で止めようとした場合には,摩擦力を使ったブレーキなどを適用する必要がある。ただし,摩擦力を使う場合には,ふたを止めた位置で保持する力を大きくすることが難しく,摩耗による保持力の劣化などにも注意が必要になる。
 そこでアドバネクスは,歯車の組み合わせを変えることで,任意の位置でロックできるスライダ機構ユニットを考案した。歯車を使っているため,ロック時の保持力が強い。

日経ものづくり アイデアコーナー2
図●スライド機構の構造
(a)ロック状態では,左右のラックそれぞれとかみ合った二つの固定歯車と,二つの可動歯車がかみ合った状態。このため,プレートを動かそうとしても歯車が回転できないため動かない。(b)ロックを解除するには,可動歯車を片方の固定歯車とだけかみ合うように動かす。これによって,固定歯車は回転できるようになり,プレートを動かせる。


寿命が長いチューブポンプ 【アクアテック】

大径リングでチューブを圧迫

 チューブポンプでは,弾性のあるチューブの一部をローラなどで圧迫し,その位置を連続的に変化させて流体を送り出す。逆流を防ぐためには同時に複数カ所を圧迫する必要があり,通常はチューブを湾曲させて,その内側に配置した回転体の円周上に複数のローラを配置する。
 しかし,この方式ではチューブを狭い範囲で局部的に変形させてしまうことになるため,チューブの長寿命化が難しい。そこでアクアテック(本社大阪府東大阪市)は,チューブの湾曲部の曲率に近いリングを使って圧迫することで,局部的な変形を抑え,長寿命化を実現したチューブポンプ「リングポンプ」を開発した(図)。

日経ものづくり アイデアコーナー2
図●リングポンプの仕組み
チューブを「逆Ω形」に配置し,その一部をリングによって圧迫する。リングには偏芯ロータがはめてあるため,偏芯ロータを回転させることで圧迫位置が変わっていき,チューブ内の流体が移動する。