
PQEマトリックスを使ったD-QMS |
第一回 |
齊藤 之紀 |
設計の品質は最終的な製品試験によって確認するのみで,途中段階では把握できていない。開発の節目で中間成果物の有無は確認しているが,その品質は定量的に把握していない。設計品質を的確にマネジメントできずにいる企業は多い。そうしたマネジメントに役立つ「PQEマトリックスを使ったD-QMS」について解説してもらう。 (本誌)
日本の製造部門の品質管理は,世界最高レベルに達している。製造プロセスを工程ごとに分割し,使用する部材や部品,さらには成果物の品質やコストを各工程で詳細にマネジメントしている。その上で,漸進的な改善に取り組んだり,セル生産方式の導入など生産システムの革新を図ったりすることで,急速な時代変化を乗り越えてきている。
しかし,開発設計部門は多くの企業において聖域化され,個々の工程における設計品質はブラックボックス化したままだ。(図)。それぞれの工程で入力となる工数は丼勘定であり,各工程の中間成果物は存在していても,その完成度は不明である。試作機を見ると動いているようで,不具合も多数見つかる。結局,開発された製品を最後に徹底的にテストすることで,設計品質を保証してきたのが実情だ。
図●ブラックボックス化している設計途中の品質
開発設計部門では往々にして,工程ごとの成果物の品質(設計品質)がブラックボックス化している。