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日経ものづくり 材料力学マンダラ

第25巻
座金は何のためにあるのか

広島大学大学院教授 沢 俊行


●座金は平均面圧を下げる? 緩みを防ぐ?
●座金の効果はその厚さと関係,使うなら厚いものを
●被締め付け物の縦弾性係数が小さいほど,応力緩和効果あり


 ここ2回にわたって,接触に関する問題を扱ってきました。その典型的なケースが,私たちの身近にあるボルト締結体といえます。ボルトで二つの部品を締め付けると,部品と部品との間や,ボルト頭部と部品との間に接触応力が生じます。そこで今回は,特に後者のボルト頭部と部品との間に着目したいと思います。
 図は,平座金を入れたボルト締結体の様子。ボルト初期締め付け力Ffで締め付けた後に,外力Wが作用しています。座金と,2枚の中空円筒から成る被締め付け物の厚さと縦弾性係数はそれぞれ,2h1とE1,2h2とE2,ボルト穴径は2aとしましょう。おそらく,この構成がごく一般的なボルト締結体で,その使い方には何ら疑いを挟み込む余地がないようにみえますが,果たしてそうでしょうか。

座面が陥没するワケ
 ボルト締結体において,ボルトは締結という本来の機能を遂行するために欠かせない部品であることは,火を見るより明らか。被締め付け物を接合するボルトは欠かせない部品です。一方,平座金はどうでしょうか。「座面面積を拡大して平均面圧を下げる」「緩みを防ぐ」などという声が方々から私の耳に届く気がします。ボルト締結体が緩めば,締結という本来の機能を喪失してしまう。それを平座金が防止するのであれば,ボルトと同様,欠かせない部品ということになります。
 このことを検証するために,まず平座金がないケースを考えましょう。ボルト初期締め付け力Ffを大きくし(強く締め付け)た後,ボルトを緩めて外してみます。すると,座面のボルト穴付近が塑性変形,すなわち陥没していることが間々あります。

日経ものづくり
図●典型的なボルト締結体
平座金を用いて,初期締め付け力Ffで中空円筒の被締め付け物を締結している様子。ここに軸方向外力Wが作用することで,ボルトの軸力はFt分増加し,接合面の力はFc分減少する。果たして,このときの平座金の役割とは?