
BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)市場が今後の自動車産業の成長をけん引するこ
とは間違いなさそうだ。その市場で日本の自動車メーカーはどう戦うのか。自動車業界専
門の調査会社である米CSM Worldwide社が2013年まで向こう5年間の市場を予測しなが
ら、日本メーカーの戦略車投入など、勝ち残りの戦略を占う。
横井博文
CSM Worldwide 社
日本・韓国ビークル・フォーキャスト マネージャー
BRICs4カ国の経済の発展、中でも
自動車産業の成長は著しい。2005年か
ら2010年にかけて、BRICs4カ国を合
わせたGDPの成長率は4 ~8 %と予想
され、2010年には人口規模も28億人に
達すると見込まれる。中産階級が台頭
するにつれて所得が向上し、各国の自
動車メーカー、部品メーカーが積極的
に投資して事業を拡大している。
中国、インドが例外的に成長
まず、世界の自動車産業の中での
BRICsの位置付けを、生産と販売の両
面から分析する。2006年、世界のライ
トビークルの販売量は約6153万台を
記録し、前年比で2.9 %増加した。当
社の最新予測によると、今後も伸び率
3.0 %で成長を続け、2013年には7500
万台を超える見通しである。各国ごと
に横軸を市場規模、縦軸を伸び率とし
た散布図をとって比較すると、多くの
国は正双曲線のトレンド線に乗る。ところが、中国とインドだけが、
この線から大きく上に外れる。
年間販売台数300万台、成長率3.0 %
以上を「Cash Cow(ドル箱) Zone」と
位置付けると、中国、インドの2カ国
だけが当てはまる。中国は2006年ベー
スで7.8 %の成長を続け、2013年には
970万台近くに達する。それに追従す
る形でインドが13.3 %のペースで成長
し、350万台に到達する。ブラジル、
ロシアも成長率で4 ~5 %の水準を維
持し、300万台に迫る勢いである。