
軽く安くする材料・加工技術・第5回 |
ファインブランキングで 複数の工程を一つに |
量産規模さえ十分にあれば、一番コストの安いものづくりの方法は、 鋼板をプレスして作ることだろう。ただし、それは薄板を曲げたり、絞っ たりする形状の場合。ファインブランキングなら、かなりの厚板でも、 今まで溶接したり、機械加工していたようなものを1工程で造れる。 |
山本製作所社長 |
「多品種少量生産」がもてはやされる
現在だが、実は自動車の世界では、と
んでもないスケールの「少品種大量生
産」が始まっている。自動車メーカー
の国際的な再編が進み、世界中で作る
共通プラットフォームが登場したから
である。
その部品は各地域それぞれで造っ
た方が安くつく場合もあるが、1カ所
で集中して造り、全世界の組み立て
工場に供給した方が有利な場合もあ
る。このため、どうしても生産規模
が大きくなる傾向にある。私が聞い
た例では、例えばドアロックで100万
個/月というロットで生産するライン
があるという。
こうなってくるとやはりプレス加工
が強い。サイクルタイム1秒を切るよ
うな時間でものを造れるのはプレス加
工だけである。当社には1分間に100
個生産できる機械がある。この機械で
は1時間に100×60=6000個、1日18時
間稼働として6000×18=10万8000個、
1カ月25日稼働として10万8000個×
25=270万個の製品が作れる。稼働率
の問題はあるのだが、プレス加工なら
100万個/月というのもあながち非現
実的な数字ではない。
図●森鉄工のファインブランキング用1200tf
プレス機